難病について

現代医学で難病とされる病気も、鍼の視点から見れば病気を治そうとする治療が、体のレベルを下げる原因になっていると考えざるを得ないケースが多く見受けられます。

 

例えば癌という腫瘍も、過去からの様々な不自然なものの積み重ねがあり、その影響に耐えかねた体が崩壊を防ぐために自ら作り出した防波堤のようなものと考えられます。

 

不自然なものに堪えかねている体に追い討ちをかけるような、外科手術や強い薬物の投与が、体に与える影響については考えるまでも無い事ではないかと思います。

 

癌の患者さんの治療で強く感じますのは、癌治療を難しくしている原因は癌を攻撃するという考え方にあるのであって、癌も必要なものと認め体と対話する鍼治療においては、癌=難病という図式は必ずしも当てはまらないということです。

 

癌に限らず病気になるということは、体にバランスを取ろうとする力が、良くなろうとする力があることの証明でもあるのです。

 

子供に多いアトピー性皮膚炎なども同様で、親の体から受継いだ化学物質を皮膚の炎症というかたちで排出している状態ですから、望まれるのは排出する力を促進する治療です。

 

鍼ではこの力に頼り導かれることをもって治療としますから、病気の種類を問わず体の状態に応じた治療が可能ですが、近年の傾向として、病気にもなれない「ボンヤリ」とした体の状態の方が増えていることには、治療に携わる者として難病の増加と同様に大きな危惧を感じています。